その緊張感は初めての学会発表だからか、「カターレ富山」のJ2昇格がかかる試合の行方が気になるからかなのか?
- Lab member
- 2024年12月19日
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男子同級生がこぞってやるスポーツ、少年野球でしょ、と思っていた。
もともと私は運動が得意ではなく、それもあってか、「スポーツ観戦」とか意味わからんと思っていた。野球中継は子供の私にはかなりの強敵だった。
野球の試合が長引いた結果、テレビの中継放送も長引き、押し出されるように、テレビのプログラムが後ろ倒しになる。
結果、タイマーでビデオ録画し、楽しみに見ようと思っていたジブリ映画などが途中でぶちっと切れることがしばしばだったからだ。
当時のビデオデッキは、野球中継の延長なんてどこ吹く風、粛々とセットした時間になったら録画を開始するのだ。物理的にテープがさいごまで巻き取られたら、映画はいいところできれることになる。
「ジブリの映画と野球中継、どっちが大事なん。」
居住していた土地柄、阪急西宮北口駅で電車を待っていると、時折阪急今津線からど~っと流れてくる、観戦後熱狂冷めやらぬ阪神ファンの波に飲み込まれることがあった。それでも全く「スポーツ観戦」に興味がなかった。
初めて「プロの試合」の観戦に行ったのは、アラフォーになろうとするころ、福岡ソフトバンクホークスの試合だった。大学がチケットをくれたからという、消極的な理由だった。それでも行ってみると、それなりに面白く、福岡のバラエティテレビに出てくる選手はちょっと覚えた。
う~ん、ギータ・・・柳田選手、松田選手、甲斐選手・・・。
小学生のとき、J-league が発足した。サッカーが身近になったかもしれない。
KAMOと書かれた靴入れを持って歩くサッカー部の同級生たち。なんかみんな、KAMOって書いてある布の靴入れ持ってるなぁ・・・。
世間がワールドカップで盛り上がると、たまにはサッカーの試合を見はする。選手、かっこいいなあ・・・。でも、オフサイドって何?
そんなふうだ。
こんな話をしていたら、ゼミ生が呆れて、
「はぁっ? 先生、サッカーのルールわかってますよね?」と言われるぐらいのレベル。
始めて配属されたゼミ生のひとりが富山のサッカー強豪校のサッカー部出身だったことも、かなり後になって知った。
「え。サッカー少年だったの。そんな素振り一つも見せなかったやん、彼。」
結構サッカーをやっている学生がいるのだなと知るようになった。

今年の研究室ホワイトボードは私でもカターレ富山のスケジュールがよくわかる。
そんなこんなで配属された今年の4年生。よくよく話を聞くと、カターレ富山熱がすごい。遠征試合の応援に他府県まで出かけていることもある。
「へー。富山での試合はどこでやってるのん?」
「県総ですよ。」
「けんそう?」
富山空港近くにある、富山県立総合運動公園陸上競技場を知った。
研究室のホワイトボードとカレンダーを見れば、いつ試合があるかも一目瞭然。
ファンの彼はゼミ生を引き連れて試合観戦にも行っていた。
その日は、ゴール裏で観戦していたらPK戦となったそうだ。重要な試合でテレビでもニュースに流れた。
一緒に行ったゼミ生に、スマホで撮った映像を見せてもらったら、ゴールしたときにスマホの持ち主が喜び飛び跳ね、もはや何がうつっているのかわからなかった。
試合翌日の学生部屋は興奮冷めやらぬ雰囲気だった。
所帯が大きくなったら難しいけれど、今のところゼミ生が少なく、ゼミの日程は流動的にしている。わたしの出張などで都合がつかないときもあるので、「前もって相談し、それがお互いに納得の理由であること。そして別日には必ず全力でゼミをすること。」をクリアするならば、融通しあうこともアリ、の運営にしている。
「遠征に行くので、ゼミをずらしてほしいです。」
「あはは。 遠征?どこまで行くの?」
「神戸です。」
「え。サンダーバードに乗って!? 遠くない?」
そんな具合だ。
時折、ものすごくテンションが低いままゼミに現れることもある。
ぴんと来た。
他のゼミ生に、コソコソと聞く。
「昨日、カターレ、負けたん?」
「あ。昨日試合だったんですか。」
「あ~。なんか引き分けだったらしいですよ。」
「最近は僕たちより、先生の方がカターレの動向に詳しいですね。」
笑われた。
先週、カターレ富山がJ2昇格か、というカターレ富山にとって、きっともっとも大事な試合の日、私達ゼミメンバーは、陸水学会中部支部会の発表会の会場にいた。
会場は山梨県。
富山からは遠い。あさ6時、真っ暗な中全員集合した。
バスに乗って大学を出発した。
学会はお昼から。
そして、カターレ富山の試合は2時から。
なんとなく緊張感が走る。
だんだん感化されて、こんな私でも、休み時間には点数(だけは)チェックする始末。
この緊張感は発表を控えた緊張よりも、試合か!?
両方の緊張が入り混じる中、3人とも立派だった。
レジュメを丸読みすることもなく、堂々と発表。一緒に参加した隣の研究室の先生に、堂々としてまとまってたねと言われて気分をよくする面々。

いいやん、いいやん。卒論にむけて、少しはラクに・・・なるかしら?
「え?、今、それどころじゃない?」
かくして、カターレ富山はJ2に昇格した。
しばらくして、同じく熱狂的なカターレ富山ファンがいる、学科の別の研究室の前を通ったら、やはり扉がカターレ富山一色になっていた。
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