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犬の鼻はすごいー空港の植物検疫で関心した話

  • 執筆者の写真: Lab member
    Lab member
  • 5月3日
  • 読了時間: 4分


旅行者は海外から帰国すると、入国審査、税関、植物防疫・・・それぞれ通過しなければならない。


調査に必要な海外産の試料 (土壌等) は輸入禁止品に相当する。そのため、日本国内へ持ち込むときにはあらかじめ、出発前に最寄りの植物防疫所にとどけを提出、所定のプロセスを経てイエロータグを発行してもらう。

重量を毎年チェックして丁寧に保管・管理することが求められる。


仕事柄、時折試料を持ち帰っており、荷物を受け取ったらこれらの輸入禁止品をもって、空港の植物防疫所に向かうことが多い、ここ最近である。


先日ジャカルタから、国際線の出発と到着ができるようになった羽田空港第2ターミナルへと帰国した。


早朝 7時。


植物防疫所のカウンターで輸入禁止品のチェック等を受け、書類を発行してもらう。書類を受け取った時にはすでに荷物回転台にも税関検査場にも人がおらず、がら~んとしていた。


この日はラッキーなことに人の少ないタイミングだったようだ。


ただ、毎回植物防疫のカウンターで見ていると、海外から果物などをお土産品として日本に持ち込もうとする人が結構いることを知る。スーツケースを全開にして、係官にあれこれチェックされ、なかばふてくされながら、しぶしぶ放棄する人々。

荷物の重量を考えて厳選して持ってきたお土産を放棄させられたらまあ、そうだよなと思いながらぼんやりと見、書類を待つ。




このシーンに遭遇する少し前、

荷物受け取り回転台の付近に立っていると、植物防疫所のビーグル犬にも荷物をチェックされる。


彼らの鼻はすごい、のである。




前回、赤道付近の国から帰国したとき、買って残った小さなバナナをそのまま、関西人にはおなじみのJIB、セイルクロスの手提げかばんに入れて飛行機に搭乗した。日本に持ち込むのは禁止だけど、空港で捨てるのは忍びないし、機内で食べよう、と企んだ。


ほどなくして機内食が配られた。同行していた方は飛行機にのると必ず「ビアー・・・」とオーダーする。バナナはいらないだろう。


同行者が「ビアー・・・」とオーダーするのを確認して、本来なら「おひとついかがですか」と聞くべきところを勝手に省略し、私は機内食とともに小さなバナナ2本をひとりでたいらげた。皮は機内食のトレーの上にのせて返却した。





そして、今回。


さあ、帰るよ!

ジャカルタ空港、調査荷物をあれこれカートに載せてチェックインした。

ひとりあたり、合計40 kg、2梱の荷物が可能な券種のチケットでよかった。



ジャカルタを 22:30ごろ出発、今回は、パランカラヤで購入したライチみたいだけどライチではない果物を 5粒ほど残してしまった。

ビニール袋にいれたうえで、前回と同じように JIB のセイルクロスの手提げかばんに入れて搭乗した。




インドネシア 小規模金採掘

インドネシアで小規模金採掘活動地域で調査した帰り。海外調査はいかに調査用具を小型化し、荷物の重量を小さくするかもウデの見せ所



 

朝05:00ごろだろうか、無理やり朝食が配られた。

「・・・朝食はいいから寝かせてください。」状態になりながら、機内食をしょぼしょぼ食べた。


そうだ、果物。果物は食べられるなと、皮をむいて、食べた。

皮もビニール袋も機内食のトレーに載せて、CAさんに全部回収してもらった。


果たして、羽田空港に到着した。

荷物回転台で荷物をピックアップしようと待っていると、


来た!

荷物をスンスン・・・、植物防疫所のビーグル犬のお仕事だ。




前回は、バナナをビニール袋に入れずに、直接JIBのセイルクロス手提げかばんに入れて持ち歩あるき、飛行機の中で平らげた。


皮も実もない。手提げかばんから取り出して数時間は経っている。

ところが、である。

スニフィングするビーグル犬がぴたりと私の前で立ち止まった。

何かを訴えかける悲しげな目でビーグル犬は私を見上げ、お座りした。


「飛行機でバナナたべて、皮は回収してもらいました。」

「あ~、なるほど。匂いがのこってるのですね。かばんのなか確認してもよいですか?」


ビーグル犬は、「よい仕事」をしているのに、なんだか勝手に申し訳ない気分になる。




だから、今回は気を付けた。果物はセイルクロスの手提げに直接ではなく、ちゃんとビニール袋に入れた。機内で果物の皮もビニール袋も捨てたし、今回は植物防疫所のビーグル犬にスニフィングされても大丈夫なはず。


・・・だめだった。


ビニール袋に入れてから機内に持ち込んで、機内で食べつくしても検挙されてしまった。


またしても、私を悲しそうな目で見上げて、お座りされてしまった。

「ごめんよ~。果物は飛行機の中で食べて、持ち込んでないよ。」


ヨシヨシしてあげたくなるが、お仕事中。

その後係官から、ちゃんとオヤツをもらって喜んでいた。よかった。


なるほど、この仕事のクオリティなら、植物検疫カウンターで、しぶしぶお土産を放棄させる旅行者が続出するのは納得だった。


犬の鼻はすごい。

 
 
 

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