ブリが近づくユキドリ沢小屋
- Lab member

- 2024年3月19日
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野外には大量の物資をヘリに積み込んで、移動し露岩域で調査する。
しらせに帰艦して、ヘリコプターの飛行士をはじめとする、しらせ乗員の方々から聞かれるのが、「露岩でどんな生活をしてるの?」というもの。
彼らは、観測隊(と大量の荷物)を目的地まで輸送・・・ではなく送り届け、次のフライトへとすぐに飛び去っていく。だから観測隊が現地でどんな生活をしているか、あまり知る機会がないようだ。
今回は野外での宿泊事情のお話である。
―第63次南極地域観測隊は昭和基地周辺で最もコケ類など陸上生物の生態系が豊かな沿岸露岩域「ラングホブデ雪鳥沢」で、モニタリング調査を行った。(2022年1月31日 北日本新聞 (岩手日報))
この記事に登場するラングホブデ雪鳥沢には、常設の小屋がある。
小屋には2段ベッド(2台、4人分)、机、排水設備はないですが調理台、ヒーター、棚などがそろっている。
4人で宿泊するなら十分な広さ、4人以上になった場合は、机を端に寄せて雑魚寝をするか、外にテントを張るか。
もちろんお風呂はない。
トイレはペール缶トイレという簡易的なトイレを設置、排泄物は厳重に袋に入れて昭和基地まで持ち帰り、処分する。
筆者らが雪鳥沢へ調査に出た日は快晴だったのだが、2日後よりブリザード (ブリ) が予想される天気予報。
北日本新聞掲載記事に出ていた調査日(1月16日) はちょうど快晴、雄大な景色と豊かな生態系を楽しみながら雪鳥沢を歩き回った。

雪鳥沢での調査。この日は薄雲がかかるも、いい天気。歩き回った。
「昭和通信、昭和通信、こちら雪鳥沢小屋、感度ありますか、どうぞ?」
毎日、昭和基地と無線で定時交信し、その日の調査状況、天気などの確認を行う。
「どうやら、本格的なブリは明日お昼以降のようだね。外に出している物資だけ、今日のうちにブリ養生(ブリ対策)して、テントは明日の朝たたもう。」この日、雪鳥沢小屋宿泊者は10人近く。小屋に皆で雑魚寝するには多すぎる人数だった。
「風が強くなったりしたら、いつでも起こしてください。テントをたたんで小屋への避難を一緒にやりましょう。」かくして、筆者らはテントに引き上げた。
この日、用意したテントは2張、私のテントは女性隊員3人、もう一つテントは男性隊員2名だった。

雪鳥沢小屋の前で、物資をきちっとビニールシートで覆い、石をのせ、ブリザード対策(ブリ養生)をする様子。
その時は予想より早くやってきた。
明け方4時、テントが風でバタバタという音で目を覚ます。
「(怒)、うるさいなぁ。これ、まだ大丈夫かな?」
「う~ん、4時だし・・・。まだ眠れるんじゃ・・・?」
「・・・。」
しばらく、眠気と戦いながら、考える。一人の隊員が言った。
「いや~。これ、ちょっと心配じゃない!?テントを撤収しましょう。私、小屋の中の人起こしてくる!」
彼女はテントを出て、すぐそばの小屋へ走っていき、小屋の内扉をバーンとあけ、
「もう無理です~!撤収します!」
と叫んだ。
早朝から皆で起きだして風吹くなか、なんとかテントを撤収、小屋のなかはすし詰め状態になり、その後2日間、小屋に閉じ込められることになった。
人が多すぎて全員が起きているか、寝ているか(床でも寝ないと場所が確保できない)しか身動きが取れない状態に。まさに晴耕雨読、外にも出られなくなった。
「もう、晴耕雨読にするほかないですね」
(大学SNS寄稿文書下ろしを加筆修正)



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