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ペンギンに心奪われる人々

今回はペンギンに心奪われる隊員達のお話です。

南極といえば・・・?何が思い浮かぶでしょうか? きっと思いつくものの一つがペンギンではないでしょうか。出発前の事前説明会などでは、「昭和基地内でペンギンがウロウロしていることもあります。」という説明と共に、隊員のすぐ近くを闊歩するペンギンの写真を見たりしていました。

「そんなに近くにいるの!?」

と南極初参加の隊員達は興味津々。かくいう筆者も、日本の友人から「野ペン(動物園にいるペンギンと違って、野良のペンギン、略して“野ペン”)が居たら写真撮ってきて!と頼まれたりしていました。


往路、しらせに乗っているときは、氷の上にいるペンギンを見つけただけで、隊員は心奪われて、甲板での講習もそっちのけで、皆がペンギンを見始めるという光景も。

とはいえ、ペンギンに会えるかはタイミングも重要で、昭和基地に降り立っても、すぐにペンギンに会えるわけではありません。基地内では

「今日ペンギンみたよ!」

「えっ!!どこで? いいなぁ。まだ出会えてないや・・・。」

というような会話が繰り返されていました。


筆者が昭和基地から約 70 km のスカーレンという場所へ野外調査に出かけたときのこと、お昼ご飯に近い時間になり、筆者を含めた4名の隊員は午前の調査を終えてカブース(ソリに小屋をくくりつけ載せたようなもの(写真参照))に戻っていました。カブースの外では野外観測で使った道具を片づけたり、カブースの中では食事の準備をしたり、4名で分担して仕事をしていました。


 


スカーレンのようす。真ん中に見える赤い箱のようなものがカブース。カブースは狭いので、食事はカブース内、寝るときは近くにテントを張り、皆で分かれて就寝する。


 


「近くにペンギンがいますよ!」

「えっ、どこどこ!?」

大慌てで知らせに来てくれた隊員の指さす方向には小さな露岩の上にペンギンがトコトコと歩いている姿が。


 

このときペンギンに心奪われた隊員に提供してもらった "野ペン"の写真

 


「おおっ、結構近くにいるやん!」

カブースから300メートルぐらいでしょうか、3名の隊員はそれぞれのカメラをひっつかみ、筆者を残してペンギンの近くまで静かな速足で駆け寄っていきます。


「ちょっとぉ、料理してるのよ。カセットコンロもつけっぱなしで、私、ペンギン見に行けないんだけど・・・。お~い。」

もはや誰もそばにいません。この日、お昼にもどってきた4名のうち、2名は昭和基地に帰る予定。約2時間後にはお迎えのヘリコプターがやってきます。時間もありません。カブースから時々顔をだして皆の様子を観察し、「ずるい~」とつぶやきながら料理をすること20分ほど。


スカーレンでの野外も後半戦、糧食が少なくなってきたのと時間がないのとでメニューはカンタン手抜き料理。


<分量・4人前>

メニュー① 簡単リゾット

スライスハム(大量に残っていたので20枚ぐらいを一気に)一口サイズに切り、たまねぎ(3/4玉)とじゃがいも(中サイズ3/4コ)と共に炒めます。

火が軽く通ったら、カレー味のα米のご飯(山用品屋によく売ってます。お湯をいれたら15分でごはんになって食べることができる。2袋)を投入。軽くかき混ぜて、水をヒタヒタになるまで入れて蓋をします。弱火で20分蒸し煮にすればできあがり。あればチーズをトッピング。スライスハムとα米の味付けが濃いため、味付けは不要。


メニュー② 冷凍ハンバーグとソフトサラミハムとたまねぎとじゃがいものたまごとじ

 冷凍ハンバーグ(野外に冷蔵・冷凍庫はないので解凍済み、2パック)一口大に切り、フライパンで炒めます。脂がジワ~っと出てきたところでメニュー①で残しておいた、たまねぎ(1/4玉)、じゃがいも (中サイズ1/4コ)、ソフトサラミハム(10枚ぐらい)を食べやすい大きさに切り横で炒めます。

よく火が通ったら、ハム、たまねぎ、じゃがいもを炒めているところに卵をそのまま割入れ、フライパンの中でかきまぜて卵とじにします。これまたハンバーグとソフトサラミハムの味だけで十分。こちらも追加の味付け不要で完成。


卵を別のお椀などにあらかじめ溶いておかないこと、同様にハンバーグとたまごとじを同じフライパンで作るのも、食器を汚すのを防ぐためです。野外では洗うことができないので、調理器具・食器はキッチンペーパーで拭うしかありません。


水は、昭和基地で20Lのポリタンクにあらかじめ汲んでおいたものを小分けにして使います。料理中に、ひとりでほぼ満タンのポリタンクからヤカンに水を移すときに、てこずって、水をこぼしました。

「あ~!!しまった!水こぼしたぞ。 ああっ、 リゾットが焦げる!!」

あたりを水浸しにしつつ調理を進めます。

(つづきます)




 



スカーレンでの野外調査での一コマ。スカーレンには小さな池や湖がたくさんあり、ポリビンに採水した。出発前、メンバーたちは「ポリビン、ザックに入れて持ちますよ」と言ってくれ、手分けして持つ。彼らは採水するごとに250 ml (≒250g)分ずつ自分のザックが地味に重くなっていくことを出発時点で知る由もない。


 

(大学SNS寄稿文書きおろしを一部改訂)

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