「はじめに」
に続く中澤研のゼミ発表の常套句、「大気中水銀の約 95 % はガス状水銀 (Gaseous Elemental Mercury; GEM) として・・・」 は、おそらく卒業したゼミ生の口から自動的に出てくるフレーズに違いありません。
金属ときくとみなさんは、まどのサッシ、水道の蛇口、スチールラック、フライパン、ボウル・・・固形物を想像すると思います。
そんななか、水銀だけは違います。
その昔、小学生のころ学校に行きたくなさすぎて、火鉢で体温計をあぶって体温計を壊し、怒られた挙句、学校に行かされるはめになったのはのは、わが父だけではないはず。
水銀温度計をうまいこと38℃ぐらいに調整できないところが、小学生なのだけれど、たぶん、あぶったら一気に体温計の表示が上昇しそう。
授業でこの話をした日の出席カードの感想をみていたら、デジタル体温計になった現代でも
「僕は小学校のころカイロを利用して「高熱」を装おうとしたことがあります」とのコメントを見かけました。いつの時代もやっぱり考えることは同じです。
水銀温度計を想像してもらうとわかると思いますが、水銀だけは他の金属と違って、
「常温で液体」です。それゆえに、たとえば液体の状態でどこかに置かれていたとしたら、それはガス状となって大気へと放出される、という特徴があります。
大気に放出されたGEMは大気中水銀の約 95 パーセントを占めるとされます。
人為由来、自然由来それぞれの排出源から、いったん大気に放出されると、その環境中での寿命 (fate) 、つまり、大気に漂っているとされる期間は、約1年と言われています。
そして、風や気象条件、さまざまな要因によって遠隔地に運ばれます。
そのために付近に水銀の排出源のない場所でも高濃度に水銀が沈着していることがあります。
中澤研究室の卒業論文より。
研究室の環境中水銀に関するテーマの卒業論文では、このパイグラフの出現頻度はかなりのもの。
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