毛髪中の水銀を測定する。ートピックゼミに講師をむかえてー
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- 8 時間前
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先日のトピックゼミ (環境・社会基盤工学科2年生の授業) の授業では、水銀測定装置を開発するメーカー (日本インスツルメンツ株式会社) で働く方を講師にお迎えした。
講師は、私が大学院博士後期課程のときに在籍していた研究室の後輩にあたる。私が博士課程を修了するころ、彼女は研究室に配属された。
それゆえ、同じ時期に研究室で、学生として苦楽を共にしたわけではない。
しかし、私が博士研究員となり、研究室でお世話になり始めたころ、彼女は修士課程の2年生となっていた。
ちょうど彼女の修了と私の着任、バトンタッチする形となった。
「学生のころ、分析方法習ったはずだけど、もうすっかり忘れてる・・・。」
そして私は彼女から研究室にある水銀分析装置の使い方をみっちり教わった。

学生実験室にて、講義中。大学で授業をするのは、初めてとのこと。そんな「初めてさ」を全く感じさせない話しっぷりだった。・・・授業だから特段指示をしなくても、受講生 (学生) は当たり前にノートと鉛筆を出してメモる準備をするかと思い気や(思いますよね?)、メモを取るのは二人だけだった。これは他の授業でも同様の傾向がみられ、「どうなってんだろ?」と私は最近とても訝しんでいる。一説には「黒板に書かれた文字」ならばメモる、とも。なんでなん・・・。
どんな内容にしようか。
事前にWEB会議をして打ち合わせた。
「これから進路を考える学生に、大学生や大学院のころどんなことを考えていて、それが今に至った経緯や考えてたことも教えてほしい!」
そんな無茶な要望にも応えてくれた。
彼女が学生のころは、(私と同じようなスタイルで)フィールドに出ていき、環境中の試料(渓流水、底泥、年輪、大気など)を採取して測定し、分析装置の調子が悪くなると、メーカーの方とやりとりしていた。
メーカーに入ってからは、彼女が学生の頃には分析しなかったような試料中水銀の分析をしたり、装置の開発に関わったり。社内での各部署の紹介や、各部署とのかかわりなども紹介してもらった。
「あぁ、こんな進路選択という道もあったのだな。当時はあまり考えたことがなかったな。」
「こんな職についていても、楽しかったのかも。」
と、同じ研究室出身でありながら、別の道を歩む後輩の講演を聞きながら考えていた。
大学(院)卒業・修了の段階では、(今から考えると)視野が狭かったと思う。
進路選択はなかなか難しい。
後半は、環境中の水銀のお話。
水銀はその性質ゆえ、太古よりさまざまな用途で利用されてきた。
実はこんな製品にも使われてたよ、という話から始まり、
分析方法の紹介・・・水銀のはなしが盛りだくさんだった。
そして最後は、毛髪中の水銀測定。
一般的にヒトの体内の水銀量を知る手がかりとして、毛髪、尿、血液中水銀濃度から考える。これらの試料のうち、 "一番手軽に"採取できるのが、毛髪である。
研究室で毛髪中の水銀を測定する場合は、据え置き型の測定装置 (MA-2000) を使っている。今回彼女が持ってきてくれたのは、持ち運びできるタイプ (MA-3 Solo)。
女性が一人でも持ち上げられるという、扱いやすい大きさだ。
電源と(試料量を測定する天秤)があれば、どこに持って行っても測定できるという優れもの。
毛髪中の水銀は「魚をどれぐらい食べたか」を反映しているとされる。
受講生3名の毛髪中水銀を測定した。
「うわ、低い!!」
「先生はどれぐらいだったんですか?」
「魚はよく食べるの?」
「毛先だから、数か月前ぐらいの食生活を反映してると思うよ。」
環境系研究室から、分析装置を開発するメーカーへ就職という進路、そんな道もあるんだよ。そして、水銀のことにも少しは興味を持ってくれたかな?

授業の準備中。A3サイズの用紙の上に乗る大きさの水銀測定装置を持ってきてくれた。試料を自動で導入する装置(オートサンプラ)は附属してないけれど、持ち運びに便利で「どこでも」測定ができてしまうという便利さ。いいなぁ。授業の中で各自の毛髪中の水銀を測定した。



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