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妙に整った文章とChatGPT

  • 執筆者の写真: Lab member
    Lab member
  • 18 分前
  • 読了時間: 4分


富山に雪が降る季節になった。

それはすなわち、卒論の締め切りが迫ってきていることを指す。



ある冬の日の大学。大学付近の道路には融雪装置がついている。道路の雪がとけて大助かりだが、道路は水浸し。長靴通勤がデフォルトになる季節。(2026年1月撮影)


これは、ある日のゼミ室、私と4年生との会話である。


「・・・この文章、ChatGPT使って整えた?それとも、引用文献の文言をそのまま抜き出して「引用」として書いた?」


「ここの文章は、引用文献の文言をつなぎ合わせて・・・」


「あ、それ、だめだかんね。」



こんな会話から始まった。4年生以下、学部生レポートにあるあるなのは、引用文献は「そこに書いてある文字列をそのまま自分の論文に移植する」と思い込んでいることだ。


引用文献は、引用元が伝えていることを自分で理解しそれを自分の言葉で書き直しつつ引用するのが鉄則だ。そして引用を示すこと。そうでないと剽窃である。


入学時に学科の先生が作成した「レポートの書き方」の冊子を今一度確認せよと言っても、そんなことはスルーして提出されるレポートの多いこと。指示通りにせずとも単位が認められるという雰囲気があるのかもしれない・・・。


そんなことを考えながら、次のセンテンスに移動。


「・・・次。これは、妙に整っていて、あなたがこの間書いてきたアブストラクトと比較して、文章が整いすぎている。


文体の落差が激しいと思うし、この表現は「なんとなく、私たちの分野では使わないし、あなたも使わなさそう」に見える。・・・つまりは自分で書いてないように見えるけど?」


「そこは・・・。 ChatGPT に「論文調に文章を整えて」と指示して・・・。」


白状した。さらに詰めてみる。


「ふーん。他にはChatGPTで書かせたところは、ないの? この文章はどう?」


「ここは、多分自分だけど、ここはChatGPTかな・・・。」

出るわ出るわ、である。


「・・・そう。んじゃぁ、あなたは私に「添削して」と卒論を見せに来るけど、添削だけなら私が文章を見る意味ないよね。ChatGPTに見てもらったらいいんじゃない?


・・・そもそも文章を鍛えることができるのは学生のうちなのだから、自分の言葉で表現する練習したほうがいいんじゃないの。」


「・・・・・・。」


「だいたい、添削の意味、分かってるの?卒論をどうやってまとめるかの、相談が先なんじゃないのかな・・・。


やってるほうはアホらしくなるので、もう全部ChatGPTに聞けばどう?答えくれるんでしょ?指導教官なんかいらないよね、何しに部屋にきたの。」


「いや、卒論見てほしいです・・・。」


「・・・こんな状態の卒論を毎回見せられたら、わたしだってだんだん辟易してくるし、「ChatGPTを使うと人間がアホになる」、としか思えない・・・。」


「それは自分も思います。ちょっとまえ、友達ともそういう話になって・・・。」


・・・そうか、わかりながらも使っているのか。


「少なくとも、そんな使い方をする限り、文章を磨く能力は身につかないと思う。学生の間は自分を磨くチャンスでもあると思ってはいる。


でもまあ、どうするかは教える側の私が決めることではないから、学生がそれをどうするかについては、お任せだけどね!!」


そんなことを話しながら、違和感を感じるところを、いちいち指摘し、詰めに詰めた。




ChatGPT依存の文章は、いくつか違和感ポイントがある。


そのひとつは、妙に文章が整って見えるが、「中身がない」ことが多いことである。


「これ、どういう意味で使ったの?、説明して?」

「それが書いてあるところって、引用元 (英語文献) の論文のどこに書いてあった?」


詰めると、こんな質問には、たいてい答えられないのだ。

だから、「添削」か「相談か」はさておき、そんな状態で部屋に卒論を持ってこられても、「相談になりようがない」のである。


考えてみると、学生だったころ (2010年ごろ) は、たとえばWeb翻訳機能はまるでアテにならなかった。Web翻訳機能を使うぐらいなら、電子辞書を使ってひとつずつわからない単語を調べながらやったほうが断然早かった。


そのうえでしらべてわからないところは、ゼミや研究室の仲間に「どう思う?」と聞いて考えるしかなかった。




隔世の感がある。


ChatGPTの類はうまく使いこなせばいいと思う。


ただ、めんどくさいから、ラクだから ChatGPT に質問を投げ、

その回答の原本も当たらず、

自分で考えず、

「コピペ」するだけ、


「紙に文字が羅列されているだけ」でレポート等を提出する、という学生が横行している。



「大学に何しに来てるの?」と純粋に疑問である。


もう一度言う。

別にいいのだよ、勉強してるのは「私」ではないから。



件の学生は、上記の会話をしたのち、ChatGPT を使わず自分で考えて持ってくるようになった。


先日

「僕はちゃんと真面目に(ChatGPTに頼らず)やってますよ。」

とのたまった。


「何言ってるの、ちょっと前まで使いまくってたやんか。」である。




 
 
 

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富山県立大学工学部 環境・社会基盤工学科 中澤研究室

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