top of page
検索

太ったり痩せたりする凍結乾燥機

Lab member

皆さんは凍結乾燥機をご存じだろうか。

文字のまま英語にすれば、Freeze dry である。そう、試料を「フリーズドライ」できる機械である。


これである。

 



 

今年は2名の学生がこの「フリーズドライ」を作る機械で、土壌や葉などの環境試料を凍結乾燥させた。

その結果、2名の卒論には同じような写真が出現することとなった。



1月下旬、卒論の第1回目提出まであと少し。

「提出直前は添削も追い付かないし、添削しても、修正する時間がないから、早めに見せてね。」

「それから3人同時提出もダメ。いっぺんに出されても見きれないから。」



そうは言っても背に腹は代えられない。

「・・・今週出さないと、見てもらえませんよね。」


木曜日・金曜日に、3名がかわるがわる部屋にきて、

潔く提出する人、とりあえず前もって言っときますといろいろ言う人・・・三者三様にあれこれと「つぶやいて」学生部屋に戻っていった。


結局、宿題3つ、となった。


その土日は富山の冬にしては珍しく太陽が出るよい天気だった。

自宅にてコーヒーを飲みながら添削開始。



 

凍結乾燥機  MA-2000 水銀

 



二つを見比べると違和感しかない。

写真下の卒論原稿は伸び縮みしていないのかもしれない。

しかし、写真上の卒論原稿を見てしまったら、どうにもこうにも違和感しか感じなくなった。


「うーん。」

悩むことしばし。


「まあ、指摘ばかりしてもだめだし、一度、自分でもやってみるか。」


実験室、手持ちのスマホで写真を撮る。

そして作ってみた。


 


作業の順番としては凍結乾燥機が先なので、入れ替えて作成。

カメラ:Motorola moto 32 スマホ。


 



ゼミの発表で学生が作った実験の様子などの写真をみると、たいてい、いらないものが映り込んでいる。

「もうちょっとその写真、どうにかならん? ちょっとまわりをきれいにして取り直したら?」


そんなコメントをすることも多々ある。



しかし、ハタと気が付いた。

自分がさっき撮ってきた写真も、そこらじゅうが散らかっているではないか!


そういえば私が出張先の海外のホテルなどの様子を何気なく撮ると、たいてい物が散らかっている。

 



2024年11月、インドネシア小規模金採掘地の調査で滞在した宿泊先。人が通る廊下側に大きなガラス張りの窓があることに驚いて撮った。カーテンをおちおち開けていられない、外から丸見えのこのつくりは一体・・・。いつもどおり部屋の中は調査用具やらなんやらかんやら、散らかし放題である。

 

こんな感じなのだ。

荷物を取り出す前に写真を撮る、写真をとるからきれいにしてから・・・という発想にはなぜか、ならない。


いつだったか、引っ越しのさなか、

「今度の台所はこんな感じで広いねん!」


と台所の写真を撮り、友人に送信した。


「広いけど、何で台所の真ん中にこんにゃくおいてあるん!?写真とるんだし、どうにかならん?」


指摘されたことがある。

引っ越し前に食べきれずに持ってきたこんにゃくが台所に袋ごと鎮座していた。




さて、凍結乾燥機のまわりに散乱するメモ紙などはひとまず無視して、どうだろうか?


うーん、上側の原稿は多分、縦横比がヘンだ。



卒論、図ひとつでも、作るのは大変だ。


図を作り、表を作り、文章を書き・・・ 20ページ以上の大作に仕上げるのは大変である。


仕上げたと思っても、

提出した原稿には赤が入りまくるし


「自分で何書いてるか、もうワカリません・・・。」

そんな状態にもなる。


うん、最初はだれしもそんなもんだよ。

私もかつてはそうだった。

今だって投稿論文を作るときは相当悩むし、パソコンの前で一文字だって進まない局面もある。



さて、土日そして月曜までかかって、宿題3つをなんとか読み切った。最初の提出が近いのに今更返されても困る、という心の声が聞こえた気がするのだが、返却した。



卒論は「取り立てる」か「取り立てられる」かの戦いである。


切羽詰まってくると、提出した学生からは、

「いつ返してもらえそうですかね?」とすまなそうに催促される。


そしてこちらは、なんとか読み下して赤を入れる。

返却した瞬間、私は心が軽くなって、「で、次の原稿いつみせてくれるのん?」と取り立てに入るのである。


ここですかさず続きの原稿が出てきたらこちらは大変である。



この繰り返しを重ねれば重ねるほど卒論はブラッシュアップされていく。

そして重ねれば重ねるほど添削にも時間がかかるようにもなっていく。添削時には、参考となる論文を読んでみたりという作業もだんだんと入ってくるからである。


お互いに大変な作業である。そろそろデッドヒートになっているけれど、2月末までまだまだ続くよ。


今、すでに書いていたこのブログをアップしようとしているが、机の上には、昨日、ゼミ学生から「取り立て」が入った原稿が待っている。




「ここまでやってたら大丈夫ですよね?」たまに、そう言う学生を見かける。

「学びに来てる」場所、だから「やる」も「やらない」も好きに選んでいいと思うけれど・・・。



 
 

Comments


富山県立大学工学部 環境・社会基盤工学科 中澤研究室

 939-0398 富山県射水市黒河 5180 

© 2023 by Nakazawa lab., Toyama Prefectural University

bottom of page