気まずくなりすぎる前に、どうにかしなさいよ、という話。
- Lab member

- 8月22日
- 読了時間: 6分
なんやかんやで、ゼミ生も5期生となった。
私から見たら、毎年「謎」事件が起こる。
今日は「気まずくなりすぎる前に、どうにかしなさいよ」という話である。
あるゼミ生の話である。この学年は後期の中盤まで本当に歩みが遅かった。
毎週ゼミをし(授業だから)、進捗確認・論文紹介をする。
しかし、
数週間前と全く同じ資料を出してきて、
全く同じことを説明するということが常態化していた。
このブログの読者層はよくわからないが、
(しかもアクセス数もごくわずかだが)、
みなさんはどう思われるだろうか。
まあ「意味ないよね」である。
「全く同じだったら、やっても意味ないから、やめよう」
そう言ったら、ゼミ生全員がヘラヘラと、
「ラッキー、ゼミなくなった」
と言わんばかりの態度だった。
<case 1>
ある時、ゼミ生の一人が部屋に来たので、
「ここを直して、これをこうして、ここには、結果を載せる。
それで、〇日に持ってきて見せてちょうだい。」
「わかりました」
と打ち合わせした。
ところが約束した日・時間に来ない。完全にスルーした。
まあ、いいわ。私はやることあるし・・・と何も言わずに放置した。
謝りに来るかと思いきや、来ない。
この彼、その後、エレベータのドアが開いた瞬間、バッタリとご対面した。
「うわ。やばっ!! 気まずい!」
心の声が聞こえた気がした。
観念したらしかった。
たまたま私の隣にいた、大学院生が
「こんなに謝る人、見たことない。」とつぶやくほど、ペコペコした。
あとから聞いたら「ずっと、どうしようと思っていた。」と言った。
<case 2>
ある時、学生が分析方法を教えてほしいというので、教えることにした。
水の中の水銀を分析する機械である。
これ、ものすごく低濃度のものを分析できる装置なのだが、その分、試験管内の汚れ、装置内部の汚れ、などを敏感に拾ってしまう。
故に、丁寧さと、十分な時間を持って分析するしかない。
なんだかわからないけど、経験則によるちょっとした加減で、繰り返し測定してもピタッと数値が合うような気がする。これは完全に私の経験から出る感想だ。

水の中の水銀を測定する装置。かなりご高齢だけど、調子がよくて大助かりである。
ところがである。教えている真っ最中に
「あ!やばっ。 先生、バイトがあるので、先に帰ります。もう時間がない!! あとはよろしくお願いします!」
大学生が本業なのか、バイトが本業なのか。
その学生は慌てて帰っていった。
「はぁ? これ、どーすんの!?」思ったが黙っていた。
やがて分析が終わったので、私は流路とガラス器具を酸で洗浄、機器を立ち下げ、すべて片付けた。
件の学生、次回自分で測定するときどうするのか?
ゼミで早く分析をしないと、卒論に間に合わないよと諭すも、分析する気配がない。
そりゃそうだ、自分でオペレーションできないのだから。
しずかに観察していたら、やがて観念したか、部屋にやってきた。
「先生、この間はすみませんでした。ちゃんとやるのでもう一度教えてください。」
「アンタ、何考えてんの? 私の卒論じゃないから、あなたが装置を使えなくても、べつに私は困らないから、知らない。」
「・・・」
ゼミで「あるある」の光景である。
この学生は、それでも、「観念してフォローしている」ので見込みがあった。実際最後は頑張った。
彼には、何度も
「自分が何をしているか、そして、相手のことを考えなさい。」
「ミスしたと思ったらすぐフォローしなさい。気まずいと思っても、それしかない。相手はとても怒ってるかもしれないし、気にしてないかもしれない。」
「誠心誠意心を尽くしても相手が許さなかったら、それはそれで仕方がないけど、(大事な相手なら)向き合わないのは絶対にだめ。・・・と私は思うけどね!!」
言った。
しかしである。
謝罪にもこなければ、
「ミスしたことをなかったことにする」学生もいる。
この学生の場合、諭しながら問い詰めたら「(きまずくなりすぎて)先生の部屋に来るハードルが高かった。」とのたまった。もともとは自分がミスしたからであって、何を言ってんだろうと思う。
「べつに、これは大学教育の範囲外だから、答えたくない、何も思わない、ならなにも言わなくても構わない。でも私は、あなたの対応はよくわからない。ふつう失敗したと思ったら、フォローすると思う。
あなたはしてないと思う。そればかりか、一定程度「相手のせい」にしていると私は感じる。もしかしたら「私が」ヘンかもしれないけれど、「私は」そんな対応は社会で通用しないと思う。」
「先生だから何でもしてくれるわけじゃないよ。相手は「先生」であっても「人」。」
それでも、学生だからこんな経験を通じてでも成長するのなら、まだアリかもしれない。
ただ、社会にでてもこういう人は、いる。
こちらがいくら説明するように言っても、説明しない。
説明せず、半ばだましたような恰好で物事を進める。
自分の都合だけ押し付けてくる。
こちらが怒っても、説明も謝罪もしないで、だんまりを決め込む。
気まずいから、ろうかで会わないよう、遠くに私の姿を確認したらトイレに逃げ込む!!
とか。
忙しいから・・・、
学内が大変だから・・・、
気まずいから・・・。
だからといって、相手に対して、最低限相手が状況を理解するだけの、説明や連絡、話もしないのはちがう。
「今はこうだから、こう。 いついつまで待って、対応するから。」
「こうしてしまったけど、ダメだった。だからこうする。」
「こういう状況で、ここだけお願いできないか?」
「こうしてしまったけど、すみませんでした。」
とか。
「察して、許して」みたいなのは相手はわからない。
私は、大学の事務局で働いた以外、いわゆる会社勤めはしたことがないけれど・・・
研究業界でも、どんな場合でも・・・
ちゃんと相手にたいして(尊重して)対応するって、基本だと思う。
でないと、社会的にもプライベート的にもその人との関係は終わる。
共同研究なら破綻する。
商談なら、チャンスを逃すだろう。
プライベートなら、二度と口きいてくれなくなるかも?
もちろん、それぐらいの関係だとふむのであれば、それはそれでOKだ。
でも、在学中にすくなくともゼミの先生にたいして気まずくなりすぎたら、なかなか部屋にも行きにくいだろうし、そうなると研究も進まない。
卒論どーすんの?
もちろん自分でできる実力があればその限りでもないけれども。
かつて、わたしにもそういう時はあった。
「先生のところに話をしに行きたくない。」
院生室で同期にぶつぶつ言いながら長いこと逡巡していたら、
ついに同期はイラッとしたらしい。
一瞬静かになったのち、
本棚があって相手の顔は見えなかったが、向かい合わせの机から声が飛んできた。
「・・・みよちゃん*。いい加減、話をしに行くしかないやろ(怒)!今すぐ、行け!!」
(*当時のわたしのニックネーム)
と一括されたことがある。
彼女は今、某大学で教員をしている。
どんな対人関係でも
「気まずくなりすぎる前にどうにかしなさいよ。」
「関係悪化したくない(大切な)人なら、適切なタイミングで、伝えるべきことは伝えるべきでしょ。」
というハナシは大学で(しかも、卒論研究を通じて)教えるべきことなのか、と思うのだけれど、
本当に社会生活を送るうえで、基本の「キ」なのではないのかと思うのである。



コメント