2008 年頃、私が博士後期課程に在籍していた頃、所属研究室に加熱気化の水銀測定装置 MA-2000 (日本インスツルメンツ社製) がやってきた。
メーカーの方がやってきて使い方を教えてくれた (ような気がする) 。
やりかたを習ったのは習ったのだが、自分の仕事で手一杯、
「水銀?、へー。学部のころの実験実習で、いろいろ操作 (還元気化法だった?) して平沼水銀計で髪の毛の中の水銀測ったことあるわ。」
ぐらいの感覚だった。
3年では修了できない可能性が濃厚になったそのころ、私は自分の博士論文をどうにかすすめて、博士号を取得すること、究極的には 2つの論文をアクセプトさせることに必死だった。
琵琶湖への窒素とリンの負荷量 ( とくに降水・大気降下物からの) をどうにかして見積もる、というような研究をしていた。
時は流れ 2013年。研究員として滋賀県立大での研究を再開し始めたころ、当時修士課程に在籍していた学生に再び分析方法を教えてもらった。彼女は今、その機器のメーカーに勤め、技術者として仕事をしている。
なんやかんやで機器とはかれこれ 15年近い付き合いである。
ヒーターが壊れて修理したこともある。
コックの位置をミスして、本来流れないところに緩衝溶液を流れさせてしまい、あちこち洗浄したこともある。
あるときはトウモロコシを何も考えず投入した。
装置の仕組みは「加熱気化」、試料は高温で加熱される。
数分してポンッと音がした。機器の中でトウモロコシがポップコーン状態になって爆発したのだ。何も考えていなかった。
燃焼管は壊れなかったが、流路をありえないほどススだらけにしたこともある。

当時、こんなに長い付き合いになるとは、想像してなかったよね。
いつしか新しい機器 (MA-3000) が販売されはじめ、近年になるとMA-2000 はメーカーもお世話してくれなくなった (メンテナンス終了) 。
MA-3000も知ってはいる。サンプルを自動で装置に投入してくれるオートサンプラに、いっぺんに 100コもサンプルをセットできるのだ。MA-2000のオートサンプラは30コ程度しか入れられないのに。
さらにMA-2000では、サンプル一つ一つに2種類の粉 (添加剤) をかぶせなければならない。油分や水分を除去するためだ。ところがMA-3000は添加剤も不要で各段にラクそうなのである (ただしMA3000の燃焼管は一定回数測定したら、それごと交換しなければならない)。
装置も四角くてスタイリッシュ。
ソフトはなんとなく、MA-2000の雰囲気を踏襲しており、
「すぐ慣れて、使えそう」感が漂っている。
しかしMA-2000も捨てたもんじゃない。だんだん「一昔前」感にも年季が入ってきたけれども。
MA-2000は原理を理解しやすい。
先日ゼミ生に熱を込めて説明したが、「1本、1万円!」に収束してしまった。
そして古い機器にありがち、ユーザー側でメンテナンスできる部分が多いところがカワイイのだ。
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