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野外調査へはヘリコプターで

  • 執筆者の写真: Lab member
    Lab member
  • 2023年9月14日
  • 読了時間: 4分


私は今回陸上生物モニタリング部門の観測隊員として参加した。


隊員としてのミッションは、昭和基地や露岩域で長年続けてきた生物に関するモニタリング観測を行うこと。


昭和基地と露岩域で調査を行いましたが、今回から数回にわけて野外での調査の様子をお届けする。


さあ、野外へ。


観測隊で、露岩域と呼んでいる調査地へはしらせに搭載されているヘリコプター(CH101という機種)で赴く。



しらせで南極へ向かう途中、人員や日程の調整を繰り返した野外調査計画だったが、ヘリの調整や天候などに左右されて、


結局オペレーションが始まって数日が経過したお正月を迎えるころには、すでに計画倒れ気味に。


複数の野外調査チームが居るため、日程調整やサポートメンバーも含めた人員の調整など、綿密に考えていく必要があるのだが・・・


何かの拍子に1日ズレただけで、サポートメンバーの都合が悪くなったり、ヘリや天候の不調によって、所定の日に昭和基地に帰ってこられなくなったりすることも・・・。



みんなでなんやかんや、すったもんだしたけれど・・・あらかじめ計画はするものの、変更があってもどうにかなるよ、という心構えで臨むしかないと腹をくくる。


国内での野外調査でも天気などによっては変更を余儀なくされる (たとえば、この屋久島調査) のだが、それよりももっと流動的だった。




さて、観測隊の歴史から、露岩域でのヘリの着陸地点には多くの情報の蓄積があり、各露岩のヘリ着陸地点には、なんと、世界の空港と同じようなレターコードが付与されている。



昭和基地Aヘリポートは「昭和A」

しらせは「WQ」、


露岩域の例では、

スカーレン大池カブース「SKL」、

スカルブスネスきざはし浜「SKR」、

ラングホブデ・ユキドリ沢小屋「LNG」


と言った具合に。


毎日、しらせ飛行科(海上自衛隊) と隊長とで協議してフライトプランが決められており、たとえば、「WQ→昭和A→LNG→SKR→昭和A→WQ」というようになる。


「おぉ!! 国内エアラインパイロットのフライトスケジュールのように過密!」


隊員は人員と物資 (つまり重量が重要) がどこで乗り込んでどこで降りるかが書かれた詳細なフライトプランがメールや掲示され、


隊員はそれに従ってヘリに乗るための準備をする。


南極 観測隊 露岩域 夏隊

ヘリへの乗り込みを待つ隊員たち。

ここはラングホブデ四ツ池谷ヘリポート。スリーレーターコードは LYI

ヘリのローターは回ったままのため、轟音のなか隊員は荷物を運び、最後に自分達も搭乗する。轟音のなかで伝達事項があると大変。ちょっとイライラしながらお互い叫んで意思疎通を図る。



野外観測に必要な物資が置かれている倉庫から、荷物をトラックで運び出して昭和Aヘリわきに並べ、軽いものは風に飛ばないように大きな石を載せて養生。


ヘリの到着時間が前倒しになることもしばしばのため、かなり時間に余裕を持って準備して、待つ。


野外への荷物は、調査のための用具の他、簡易トイレ(ペール缶トイレ)、食糧(野外糧食)、テント、シェラフ、非常装備品、調理器具・・・そして個人の私物(ダッフルバッグ等に詰める)と大量になる。




静かな南極、しらせ (WQ)を発艦したヘリの音が遠くから聞こえてきた。


遠くにヘリを確認、昭和Aヘリに着陸します。着陸時、隊員は荷物に覆いかぶさって、ヘリからのダウンウォッシュに備える体制をとる。



ダウンウォッシュはヘリが着陸する際に吹き降ろされる風で、軽い荷物は飛ばされてしまう。


また、地面が砂地や氷だと、それらをもろとも巻き上げて容赦なく隊員、そして荷物に打ち付ける。


激しいところだと、大粒のあられが突然に降ってくるような、しかもいろいろな方向からたたきつけられるという状態になる。

ヘリが下りるとダウンウォッシュの風は収まり、私たちは服やあらゆるところに侵入した砂や小石を払いのけながら、のそっと起き上がる。



あらゆるものが運動会後の「ざらざらした感じ」になる。


いや、本当にすごい。ダッフルバッグにつけていた、ネームタグがこんなことになるのだ。




昭和Aヘリに集積された物資。この日は私の生物班以外に、地震班・測地班と同じ便で野外へ、その分物資も大量となった。なかにはものすごく高価な機材もある。


日本国内の宅急便なら、2つより1つで発送するほうが安い。そのため、宅急便配達員の足腰のことを無視してできるだけ1つにまとめようと頑張ってしまう(ごめんなさい) 。しかし、ここで学んだのは、自分達でひとつづつヘリに運び込まなければならないということ。


まあまあ運べるのは、1つあたり10kg 程度ということを知った日々だった。



ローターがまわる轟音のなか、さあ、集積した物資を皆で一つずつ運び込んで、さあ、野外に出発しよう!



(大学SNS寄稿文より加筆修正)




 
 
 

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